今回は、これから建築設計業界へ入る方や、個人でリノベーションを行う方などへ向けた記事です。
現地調査の際に役に立つアイテムをご紹介や、「現調ってどういう意味?」についてお伝えしていきます。
現調ってどういう意味?
「現調」は、建築業界では当たり前のように使われている言葉ですが、一般的にはあまり馴染みのない言葉ですよね。
ここで言う「現調」とは、「現地調査」の略です。
つまり、設計・施工前に実施する調査や下見のことです。
設計を始める前に必要となる、とても重要な作業です。
現調で行うこと
1.現場の状況確認をする
採寸をする前にまずは現場を確認。
2.現場の採寸をして図面を描く
寸法を測り、手書きで簡単な図面を描いていきます。
3.現場の写真を撮る
後から見返すことが出来るように、しっかり写真を撮っておきましょう。
現調時のおすすめアイテム
▪️スケール(メジャー、コンベックス)
▪️レーザー距離計
▪️デジタルカメラ、スマートフォンカメラ
▪️ライト
▪️クリップボード、方眼紙
▪️脚立
▪️下地測定器
スケール(メジャー、コンベックス)
一般的には「メージャー」、建築現場では「コンベックス」と呼ばれるとこもあります。
長さは、5m以上あるものを選んでおくと便利です。
【 スケールを選ぶ際のポイント 】
■ JIS 1級
■ ロック機能付き
■ 両目盛り付き:両面に目盛りが付いているととても便利なのでおすすめです。
■ テープ幅25mm:25mmあると、一人で計測する際に折れ曲がりにくく便利です。
■ ベルトクリップ・ストラップ付:腰に引っ掛けたり、手首に掛けられるのでおすすめです。
■ 衝撃吸収材仕様:吸収材仕様になっていれば、不意に落としてしまったときでも床や建材を傷つけることを防ぐことができます。
■ サビ防止のナイロン加工
レーザー距離計
寸法を測るもう一つのアイテムとして便利なのが、レーザー距離計です。
基本的にはスケールでも足りますが、天井の高さや長い距離を測るときにはあるととても便利です。
マキタやBOSCHなど有名ブランドのものも良いですが、最近はUSB充電が可能なものやコンパクトなものが出ています。
このような面白いアイテムもあります。
こちらはスケールとレーザー距離計が一緒になっているそうです。
口コミの評価も良いので気になります。
デジタルカメラ、スマートフォンカメラ
個人的にはスマートフォンのカメラで十分だと思います。
最近のスマートフォンのカメラは性能がとても高いので、広角レンズ機能などを活用しましょう。
ライト
現場は暗い場合もあるため、携帯ライトを持っておくと便利です。
クリップボード、方眼紙、ペン
立ったままメモを取ることができるように、クリップボードがあると便利です。
メモを取る用紙は、方眼が入ったタイプだと書きやすいのでおすすめです。
脚立
天井の照明位置や、高いところにある窓などを測る可能性がある場合は、脚立を用意するといいでしょう。
下地測定器
下地がどうなっているのか調べるための測定器です。
針を壁に刺して使用します。
下地測定器についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています!
寸法の測り方
1.部屋の大きさを測る
まずは部屋の全体的な寸法(幅・奥行き・天井高)を測りましょう。
柱や梁がある場合は、一緒に測っていきましょう。
2.窓枠を測る
床と壁からの離れ寸法も測っておくといいです。
3.扉を測る
枠寸法と枠内寸法を測るといいです。
窓枠と同様に、壁からの離れ寸法も測っておきましょう。
4.その他
リノベーションなどの場合は、コンセント位置やエアコン位置、水回りの配管位置なども必要になります。
必要に応じて記録に残すようにしましょう。
現調図の描き方
1.平面図を描く
部屋全体を見て回ったあとは、平面を簡単に描いてそこに寸法を記入していきましょう。
扉枠の細かい寸法などは、別のところに拡大して描くといいです。
2.展開図を描く
天井高さ、窓や扉の高さ関係、コンセントやスイッチ位置を記入しましょう。
3.設備関係を平面図に記入する
コンセントやスイッチ位置、キッチンや洗面台などの設備関係がある場合は記入しましょう。
写真の撮り方
写真を撮る際は、できるだけ全体が入るように広角レンズを活用するのがおすすめです。
それから扉、窓、巾木、廻り縁、見切りなどの細部を撮影していきましょう。
後で見返す際に漏れがないように、多めに撮影しておくことをおすすめします。
その他 撮影しておくべきポイント
設備関係
■ エアコンの品番
■ ブレーカー(アンペア数なども分かるように記録しておきましょう)
■ 給湯器の号数
■ 給排水の位置やルート(キッチン、トイレ、洗面所、浴室、洗濯機置場など)
■ 換気の位置やルート(キッチン、トイレ、洗面所、浴室など)
■ パイプスペース、メーターボックスの位置
屋外の情報
■ 窓からの眺めを撮影し、周りの環境を記録しておきましょう
■ 屋外から物件を見たときの窓、換気扇、電気や水道の引き込み、外壁などを記録しておきましょう
搬入経路
■ ビルやマンション等の場合は、建物の出入口やエレベーターなども記録しておきましょう
不具合箇所
■ 床の凹み・たわみ(床板や根太などが腐っている可能性があります)
■ タイルのひび割れ・隙間(下地のずれや、腐りが発生している可能性があります)
■ 雨漏り跡(屋根のダメージの他、ベランダのひび割れや給排水管からの漏れ、結露が原因の可能性があります)
工事計画の確認事項
■ 資材搬入経路
■ 資材保管場所
■ 工事車両の駐車可能場所・時間帯
■ 水、電気の使用許可
竣工図の有無
■ 竣工図が保管されているかを確認しましょう。マンション等の場合は、管理人室に保管されていることが多いです。古い物件の場合、リノベーションなどにより竣工図と現状が異なっている可能性もありますが、あくまで現状を優先しましょう。
まとめ
■ 現調はとても重要な作業
■ 現調作業は大きく分けると、「1.現場の状況確認をする」「2.現場の採寸をして図面を描く」「3.現場の写真を撮る」の3段階
■ 現調時はおすすめアイテムを活用しよう
■ できるだけ効率的に漏れなく現調できるように、まずは部屋全体を把握しよう
■ 写真はできるだけ多く撮っておく
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回は現調についてご紹介しましたがいかがでしたか?
少しでも参考になっていれば幸いです。